凱風舎
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途中下車

 

 

                        雪    高田敏子

 

                     樹の根元のまわりから
                     雪はとけてゆく
                     木の肌にそって まるく
                     くぼみをつくってゆく
                     その静かな環のかたちを見るのが
                     私は好きだ

                     雪はうっとりと
                     とけてゆくだろう
                     とけて雪は
                     地にしみ入り
                     樹の根に吸い上げられ
                     樹液に変わるのだ

                     枝々の先にいっせいに
                     噴き出す芽!
                     うっとりと とけてゆく
                     雪の心が
                     あの環のくぼみから
                     伝わってくる
                     

 

 越後湯沢で途中下車した。
 
 急なアスファルトの坂道を、まだたくさん残っている斜面の雪の下面から溢れるほどに雪解け水が流れていた。
 名物「へぎそば」という田舎そばを食べたが、さほどうまくなかった。
 きっと熱燗をいっしょに頼まなかったせいなのだが。