凱風舎
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レイジィ大石君

2015/02/02~2015/02/08

2015/02/02(月)
有給。どこかに出かけようかとも思ったが、思いのほか疲れているので家でだらだら。
「ダージリン急行」(2007年米、ウェス・アンダーソン監督)。DVD
エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュヴァルツマン、オーウェン・ウィルソンの3兄弟が、インドのダージリン急行に乗って、出家した母親を尋ねに行く話。
いまいちピンとこない。

「狩人の夜」(1955年米、チャールズ・ロートン監督)
右手にLOVE、左手にHATEという刺青を入れた狂信的なキリスト教徒ロバート・ミッチャムが「主の御手に頼る日は」讃美歌を歌いながら、亡き父の残した1万ドルを手に逃げる幼い兄妹を追い詰めていく話。
1955年の公開当時はあたらず、その後テレビ局が安く買いたたいてテレビで放送しまくっているうちにカルト的な人気が出てきた映画らしい。

2015/02/03
17:30仕事終わり。
「女が階段を上る時」(1960年日本、成瀬巳喜男監督)。DVD。
高峰秀子が銀座の雇われママをして苦労する話。
彼女とコンビを組むマネージャーを演じているのが仲代達也。
高峰秀子が行為を寄せている銀行の支店長役が森雅之で「浮雲」と同じような、ダメ男をやっていた(最後に高峰秀子に復讐されている)。
加東大介、インパクトありすぎ。

「カルメン故郷に帰る」(1951年日本、木下恵介監督)。DVD。
東京でストリッパーをしているリリイ・カルメン(高峰秀子)が浅間山のふもとの村に里帰りして騒動を起こす話。
「子どもの頃、牛にけられてからおかしくなってしまった」と父親から言われてしまうカルメンが周囲に好奇の目で見られながら、そんなこと意にも介せず、大ストリップ舞台を故郷で開催する。
笠智衆が小学校の校長先生役で出ている。
映画を通して、カルメンが一つも成長しないのが良い。

2015/02/04(水)
17:30仕事終わり。
「ミルカ」(2013年インド、ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ監督)。
インド人陸上競技者ミルカ・シンに題材をとったインド式スポ根映画。
1960年ローマ五輪。
400m走決勝、中盤過ぎまでトップを快走していたミルカの耳にコーチの「走れ!ミルカ!走れ!!」という声が耳に入る、その言葉に反応して、ミルカの心の中にある光景がよみがえってくる。
後ろを振り返り失速してしまうミルカ。
失速により、トップをキープできずオリンピック制覇を逃したミルカは国中の避難を浴びることになる。
翌年、インドとパキスタンの友好のための陸上競技大会がパキスタンで開催されることとなり、インドのネルー首相はミルカを団長としてパキスタンへ派遣しようとするがミルカは決して首を縦にふらない。
国民の英雄がなぜ、パキスタン行きを拒むのか。ネルー首相の腹心とミルカの陸上コーチが説得するためミルカを訪ねる途上、彼を良く知るコーチの口からミルカの半生が語られる。
現在のインドとパキスタンの国境付近にあるシク教の村に生まれた彼がまだ幼かった1947年、パキスタン・インド分離独立騒動が発生する。
ミルカの住む村も巻き込まれ、攻め込んでくるパキスタンのイスラム教徒勢に改宗かデリーへの移住かという選択肢を迫られることになる。
身体を悪くしながらも長老として村を仕切るミルカの父は、改宗も移住も拒否し徹底抗戦の構えをとるが村にはナイフの他武器となるようなものも無く、銃を構えた騎馬のパキスタン勢を前に無惨な結果に終わる。父はまだ少年のミルカを戦いから逃がし、「走れ!ミルカ!走れ!!振り返るなぁっっ!!!」。フラフラと逃げるミルカが振り返ると、、、
という壮絶な少年時代から、1人デリーまでたどりつき、そこで唯一の肉親である姉を何とか見つけたり、デリーの不良少年グループの仲間入りをして、貨物列車から石炭を盗んでいた少年時代、そのまま大きくなって近所のゴロツキとなった青年時代、青年時代に出会うハットするような美人との恋、インド軍への入隊、陸上との出会い、などなどなどなど
陸上と出会ったのちは、コーチがとにかく無茶な訓練をミルカにやらせたり、現役のインドチャンピオンから酷い嫌がらせを受けたりなんたり
150分程の上映時間に色々な要素をこれでもかと詰め込んでいる。
インド映画なので、もちろん歌と踊りもあった。
オリンピックでオーストラリアに行ってまで現地のカントリーソング調の歌を歌って踊ってしていた。
ミルカという人は実在の人物で、Wikipediaによると1960年のローマ五輪で4着になったらしい。

2015/02/05(木)
18:15仕事終わり
「流れる」(1956年日本、成瀬巳喜男監督)。DVD。
傾きかけている芸者屋の話。
おかみさんをしているのが山田五十鈴、その娘が高峰秀子。
高峰秀子が物事をはっきりと言わずまごまごしている母親を見てきりきりしている不機嫌な女の子を演じている。
面白くなってきたなと思ってきたところで、再生が止まる。
どうやら、DVDに傷が付いているらしく、拭いてもう一度再生しなおすも、同じ個所で止まってしまう。
なんてこった、続きが気になるなと思いつつ、仕方がないので寝る。

2015/02/06(金)
19:00「トゥーマスト」(2010年スイス、ドミニク・マルゴー監督)@UPLINK
アフリカはサハリ砂漠、マリ、ブルキナファソ、ニジェール、リビア、アルジェリアという5カ国にまたがった地域で遊牧生活を続けていたトゥアレグ族の音楽グループであるトゥーマスト(彼らが話すタマシェク語で「アイデンティティ」という意味らしい)を追ったドキュメンタリー。
彼らが演奏するのは、アフリカの民族音楽とロックを混ぜてトランスミュージックに仕立て上げたみたいな不思議な音楽で中心メンバーのムーサはギターを弾いている。
彼らの演奏する不思議な音楽をバックにトゥアレグ族の来歴や、ムーサの辿った道、マリで自治を求めて戦うトゥアレグ族の話なんかを絡めて進む。
元々マグダブに住んでいた彼らの祖先は7世紀頃にアラブ系の侵略を受けサハラ砂漠に追いやられ、そこから、アフリカ諸国が独立して彼らの住む地域が5つの国に分かれてしまうまでずっと遊牧民としてサハラ砂漠で暮らしてきた。
1980年代になり、彼らの遊牧する地でウランが発掘されるようになり採掘場から追い出されたり、大干ばつが発生したりして、貧困に喘いだトゥアレグ族の若者の多くがリビアのカダフィ大佐に傭兵として雇われることになる。
ムーサもまた傭兵としての訓練を受けるが実際にイスラエルとの戦いが始まると、ムーサは嫌になって除隊してしまう。「だって、オレ、イスラエルの人全然憎んでないし、殺したくなかったんだ」
リビアで稼いだお金でトラックとカラシニコフを買ったムーサとその仲間は、地元マリに戻り独立のための戦いを始める。
闘争中にムーサは弾丸を受け、治療のためフランス(ブルキナファソからフランスに行ったのだったかな、、、失念した)に一時匿われる。そこでギターと出会ったムーサはそれから先カラシニコフをギターに変え音楽でトゥアレグ族の現状を訴えるようになって行く。
上映後、JICAのンボテ飯村さんという人による、西アフリカ政治情勢についての講義が1時間ほどあってめちゃくちゃ面白かった。
この映画自体が2010年の作で、それからあの地域(特にマリを中心に)がどうなって行ったのかという話。
2011年崩壊したカダフィ体制リビアから、傭兵をやっていたトゥアレグ族の若者が大量の武器とともにマリに帰ってきて独立闘争が激しさを増す。
2012年MNLA蜂起という大規模の蜂起が発生。殆ど内戦状態となる。
2013年マリ南部でクーデターが発生し、若い将校が大統領となるも、混乱は激しさをますばかり。その騒乱につけ込むようにして、イスラム原理主義組織(トゥアレグ族はイスラム原理主義とは関係が無い。マリ政府と対抗するために、イスラム原理主義組織と手を結ぼうとしたことはあるかもしれないということ)がジワジワと勢力を伸ばして来る。
見かねた(と言うかそこらへん一体は元々フランスの植民地だったので混乱の大元をたどればフランスに行き着くんだけど、とにかく)フランスがマリへの軍事介入を開始して、、、
という話(うる覚えなので間違っているかも)。

帰りにTSUTAYAに行き、「流れる」が途中で止まった旨を伝える。他に何本か同一タイトルのDVDがあるが全部貸し出し中とのこと。借りてたディスクを研磨してもらうがやっぱりダメらしい。映画の続きが気になっていてモヤモヤする。タダ券を2枚もらった。

「稲妻」(1952年日本、成瀬巳喜男監督)。DVD。
それぞれ父親の異なる4人兄弟とその母親の話。
バスガイドをしている末っ子を高峰秀子が演じている。
面白い。

2015/02/07(土)
何と無く、気分が沈んでいて何もやる気が起きない。
見たいと思う映画もあまり無く、朝9時位に起きるも一時間ほど何もせずうだうだする。
10時位から録画していた「マグノリア」(1999年米、ポール・トーマス・アンダーソン監督)を見る。
すごい映画だった。
ナンパ指南教室の教祖みたいなことをして、「女なんかお前のチンポでコントロールしてやればいいんだ!」とかなんとか無茶なことを言っているフランク・マッキー(トム・クルーズ)。
子供チームと大人チームが戦うクイズ番組の司会を長年に渡って勤めてきたジミー。
ジミーの娘で父親と絶縁状態にあり、ドラッグ中毒で夜な夜なバーに行っては行きずりの男を家に連れ込んでいるクローディア。
クローディアに恋をする警察官のジム。
クイズ番組の子供チームのエースで天才少年のスタンリー。
30年近く前にこの番組でクイズ・キッドと呼ばれスターだったドニー。
クイズ番組のスポンサーを務める企業のオーナーで老衰し死の淵にあるアール。
彼を見守るホスピスから派遣されたフィル。
アールの晩年の妻リンダ。
これら多数の登場人物のストーリーを並行して同時に語っていき、クライマックスへ向けジワジワジワジワとテンションが上がっていく。
「ザ マスター」(2013年)を見て以来ポール・トーマス・アンダーソンの映画を見なければと思いつつ、WOWOWでやっていた監督の特集を録画だけして、長いから(どれも1本3時間位ある)今度にしようと避けてきたことを反省。

その後、ちょっとはテンション上がったものの、なんだかやる気が出ない。
16:45から六本木で映画を見ようとチケットをとっていたのであるが、「パスしようかな」とか思いつつ、「でもせっかくチケット買ったんだしなぁ、お金無いのに、、、」となり何とか気力を振り絞り家を出る。

16:30頃にシネマート六本木に到着。
貼り紙でシネマート六本木が6月に閉館するらしいことを知ってマジかとなる。
16:45「サラ」(2014年インドネシア、へルフィ・カルディット監督)
インドネシアのアクション映画ときいて、「ザ レイド」か!と思っていたら、アクションも緩いし、ストーリーもなんだかなという感じで、見ているのが辛かった。

TSUTAYAのサイトを覗いたら、吉祥寺のTSUTAYAに「流れる」のDVDが置いてあるらしいということで、
帰りに吉祥寺に寄って借りてくる。
「流れる」を途中から最後まで見る。
大変、面白い。

2015/02/08(日)
昨夜、寝る間際にスペインリーグのマドリードダービーを見はじめて、あまりに面白いので最後まで見てしまったこともあってか、8時に起きるつもりが気がつくと13時だった、、、
池袋に行こうかと思っていたが、気力がわかないのでどこにも行かないことにする。
「乱れる」(1964年日本、成瀬巳喜男監督)。DVD。
戦中、清水市の酒屋に嫁ぎ、わずかして旦那が戦死してしまったのち、18年間残された酒屋を1人で再建した礼子(高峰秀子)と、その家の次男幸司(加山雄三)の話。
進出してきたスーパーに客をとられ、傾きつつある酒屋森田屋に長女の旦那から幸司を社長にしてスーパーを始めないかという誘いが森田家にあり、そうなると18年間森田屋を支えてきたとはいえ長男の後家として残り続けている礼子が邪魔になる。
長女は礼子を何処かに片付けようとしたり、スーパーを始めるにしても女中かなんかにして月給をやればいいとか言っている。
それを許さないのが幸司で、今までこの森田屋を1人で支えてきた姉さんを重役にするのでなければ、俺は賛成しないね、となっている。実はその裏には、幸司の礼子に対する秘められた想いがあって、、、
と言う話。
大変、面白かった。

「カビリアの夜」(1957年イタリア、フェデリコ・フェリーニ監督)。DVD。
男に騙され続けて散々なめに合わされる娼婦カビリアの役をフェリーニの妻であるジュリエッタ・マシーナにやらせている。
大変、面白い。

「女の中にいる他人」(1966年日本、成瀬巳喜男監督)
友達の妻でやたらとセクシーな魔性の女に誘惑されて、不倫を繰り返した挙句、プレイ中に相手を殺してしまったおっさんが罪悪感に苦しむ話。
これは、あんまりだった。